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これ以上ない最高のM&Aに。賃貸と売買の融合で、お客様の人生に寄りそうサービスの提供を目指す

2023年12月11日、イタンジは、株式会社Housmartのグループ会社化を発表しました。
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プロフィール

針山 昌幸 (株式会社Housmart 代表取締役)
一橋大学経済学部卒業後、オープンハウスで不動産仲介、用地の仕入、住宅の企画など幅広く担当。その後、楽天株式会社を経て、2014年9月株式会社Housmartを設立。「住を自由に」 をミッションに掲げ、テクノロジーとデザイン、不動産の専門知識を融合させ、「住」の概念をもっと自由なものに進化させることを目指している。

永嶋 章弘 (イタンジ株式会社 代表取締役社長執行役員CEO)
筑波⼤学⼤学院システム情報⼯学研究科にて情報⼯学修⼠号を取得後、エンジニアとしてニフティ株式会社に⼊社。 2014年、創業期のイタンジに⼊社し複数の新規事業を⽴ち上げ、2016年、株式会社メルカリにプロダクトマネージャーとして転職。 2018年、イタンジに再⼊社し執⾏役員に就任、OHEYAGO 事業、デザイン部⾨、マーケティング部⾨などを管掌。2023年11月、代表取締役社長執行役員CEOに就任。



お客様と不動産会社、双方に有益なサービスを


ー ハウスマートの事業内容について教えてください

針山 昌幸(以下、針山):
不動産売買仲介会社向けに、営業支援システムを提供しています。
近年、個人のお客様が様々な情報にアクセスできるようになったことにより、不動産売買の検討期間が長くなる傾向にあります。昔は1、2ヶ月で決断するお客様が多かったのですが、最近は多くのお客様が3ヶ月以上、長いと半年、1年以上検討しているケースがあります。
お客様の検討期間中、不動産売買仲介会社の営業担当は、日々新しい物件情報などをメールで送付していますが、長期にわたりお客様に対して情報提供をする作業は、重要でありながら手間がかかるものです。
そのような課題を解決するため、我々ハウスマートは、自動で物件情報の提案を行う、不動産売買に特化した「PropoCloud(プロポクラウド)」というサービスを提供しています。

独自の物件データベースを開発しており、営業担当者がお客様が希望する「エリア」や「価格」などの家探し条件を入力すると、その後は「プロポクラウド」を通じて新着物件情報などがお客様に自動で送信される仕組みです。これにより、従来はお客様にチラシで届いていた物件情報が、メールで、かつスマホで見やすい形で届くようになります。さらに、物件情報に加え周辺の売買相場やハザードマップの情報など、チラシでは得られない情報も届けています。


ー 売買の仲介の場合、「売り側」「買い側」双方に仲介が存在しますがどちらの仲介業務にも対応していますか?

針山:
はい。「プロポクラウド」は売却の仲介にも対応しており、売却を検討しているお客様には相場情報や買主候補者の情報を提供しています。 
最近では、1つの店舗で購入と売却の両方の機能を活用しているケースも増えてきています。売却においても、新しいお家が見つかったタイミングや、遺産としてマンションを受け継いだ後など、問い合わせから実際の売却開始までに1年以上の期間がかかることが多いです。
その期間、「プロポクラウド」を利用することで、営業担当者がお客様へ何度も電話をかける必要なく、週に1回お客様に営業担当者の名義で「こんなライバル物件がありますよ」「こんな新しい買主さんが登録されました」といった情報を提供することで関係性を維持しています。

このように、「プロポクラウド」は営業担当者の負担を軽減するだけでなく、個人のお客様にとっても欲しい情報が手に入る有益な仕組みとなっています。
現在は、業界大手の会社様から、地場に根付いた会社様まで、幅広い会社様に利用いただいています。

住宅と人生の幸せの繋がりを実感、業界への情熱と挑戦

ー 創業のきっかけや、どのような想いで事業をしてこられたかを教えてください

私の創業のきっかけは、子供時代にさかのぼります。
私の父親は電車の設計士で、母親は図書館司書と、両親は非常に真面目でしたが、決して贅沢な暮らしではなく、5階建てのエレベーターのない団地で生まれ育ちました。家の中で飛び跳ねると上の階からも下の階からも怒られるような、そんなボロ家でした(笑)
しかし、小学校3年生の時に両親が一念発起して中古の家を買いました。それがとても嬉しくて。自分の部屋ができて、リビングも明るくて、最高でした。その時、家が人生の幸せと結びついていることを子供ながらに実感しました。この小学校3年生の時の思い出が、私が「住まいに関する仕事をしたい」と思った強烈な原体験となりました。

大人になり、お客様と直に接する仕事を住宅業界でやりたいと思い、オープンハウスに就職しました。ハードワークではありましたが、楽しく働かせていただきました。ただ、働く中で先輩社員や上司の姿を見ながら、労働時間が長くてワークライフバランスを取るのが難しい環境であると感じました。不動産というのは「衣食住」と言われるように、お客様の人生に深く関わる仕事であり、とてもやりがいのある仕事です。しかし現実は、この業界で働く人々は業務に手一杯になってしまうことも多く、お客様に十分に向き合えきれないこともあるのではないかと考えました。それは営業担当者の問題ではなく、業界の構造がそうなってしまっている、ということです。
当時は漠たるアイディアでしたが、この業界構造の問題を、テクノロジーを使って解決できないかと考え初め、オープンハウスで数年間働いた後、楽天に転職し、システム開発やWebについて学びました。そしてその後、楽天のエンジニアと共にハウスマートを創業しました。

ハウスマートは、ミッションとバリューを重視しており、『住を自由に』というミッションのもと、住まいの概念をより自由にし、お客様が後悔しない意思決定をできるようにしたいと考えています。また、ハウスマートには4つのバリューがありますが、その中でも『Customer First』を一番大切にしています。お客様を最優先に考え、不動産業界全体がより仕事をしやすい仕組みを作ることを目指しています。

永嶋 章弘(以下、永嶋):
ハウスマートが創業した2014年は、ちょうど私がイタンジに入ったタイミングで、本格的に賃貸領域で事業を開始した時期でした。その頃、針山さんがハウスマートを創業されて、「同様の事業を売買領域でやっている会社があるな」と意識していました。当時不動産テックのベンチャーはまだあまり多くなかったため親近感もあり、当時のハウスマートのエンジニアに声を掛けて一緒に食事に行ったりと定期的に交流していました。

(余談ですが実はメルカリに在籍していた頃に、ハウスマートがtoC向けに展開している「カウル」で自宅を購入しているんです)

イタンジは割と早い段階でメイン事業をtoC事業からtoB向けの事業をメインにシフトしていきました。ちょうどイタンジがGAテクノロジーズにグループ入りした頃、ハウスマートも「プロポクラウド」の販売を始めており、toC事業からtoB向けに事業展開するという共通点もありました。
今年11月に私がCEOに就任し、新たに『不動産のインフラとなり、人々が大切なことに向き合えるようにする』というビジョンを打ち出しました。
不動産のインフラになるために、売買の領域にも進出したいと思っていたところ、針山さんとお会いする機会があり、はじめてお互いのビジョンを話し合いました。
イタンジのビジョンである「人々が大切なことに向き合えるようにする」を実現するには、不動産業界の実務をテクノロジーでサポートすることによって不動産会社様や、お部屋探しをされるお客様が大切な、本当に向き合いたいことに時間を使えるようにする、という意味があります。それがハウスマートさんの「Customer First」というビジョンと非常に合うなと感じました。この深い共感がM&Aのきっかけとなりました。

ビジョンの共感からM&Aの実現まで

ー 今回のM&Aを承諾いただいた理由を教えてください

針山:
一番大きな理由は、大切にしている『住を自由に』というミッションをより早くより大きな形で果たすためです。
「自由」という言葉には様々な解釈があると思っていまして、「何でもできる」という意味もありますが、私のもう一つの自由の理解としては「自分の意志で決められること」だと思っています。
例えば、どこに進学する、どの部活動に入る、どこの会社に就職する、など自分が望む行動や選択を自分自身でできること。自分自身の意志で決めたことは、後悔することが少ないのではないでしょうか。一方、後悔する場合は、選択肢のメリットとデメリットが分からなかったり、どのような選択肢が存在するのかを理解せずに意思決定を行った場合だと思います。
そのため、お客様に 衣食住の「住」の部分を、後悔のない意志決定をしてもらえるよう、創業以来、不動産に関わるデータを集めることに注力し、意志決定の下支えをしています。

ただミッションを果たすためには2つ難点があると思っていて、1つは住まいの概念をもっと自由なものにするためには売買だけではなく、賃貸も含む必要があるということ。そのためいつかは賃貸領域にも事業展開をしたいと思っていました。ただ賃貸は市場も非常に大きいですし、プレイヤーも多いので、単独での事業展開は難しいと考えていました。

2つ目は、データを集めていくところに関して、不動産にまつわるデータは膨大で集めるのも大変ですし、使いやすいデータにするのはもっと手間がかかることです。
賃貸へのサービス展開も、データベースの拡張も、いずれも単独でやっていくとすごく時間がかかるなと。
おかげさまでハウスマートの業績自体は着実に伸びており、サービスも順調に進化しています。しかしながら、『住を自由に』というミッションをより早く、より大きな形で達成するためには、どうすれば良いのかを直近1年ほど考え続けていました。
そんな時、GAテクノロジーズ代表の樋口さんと永嶋さんからお声がけいただいたことで、新たにM&Aという選択肢が頭に浮かびました。ハウスマート単独で事業展開し続けるという選択肢もありましたが、お客様のことを一番に考えた時に、イタンジと一緒にやっていくことが最も「Customer First」への近道だと、何度もお会いしてお話する中で思うようになり、決断しました。 

ー 協業にあたりカルチャーの相性はどうでしょうか

針山:
ハウスマートでは、これまで私主導で何度か事業提携を行いましたが、残念ながら大成功と言えるものはありませんでした。事業提携は、目標が異なる2つの企業が、お互いのメリットを考慮する必要があるため、関係者同士が妥協してしまい、中途半端な結果に終わることがあります。大企業同士がブランドを共有したり、キャラクターを使ったりするような事業提携は良いですが、中途半端な事業提携は効果を最大化しきれないケースが多いと思っています。
そのため、今回事業提携ではなくM&Aの話を最初に頂いた時に、一心同体となり共通の目標を持つことで、100%のコミットメントができると感じました。

合併においても、お互いを尊敬し合わなければ空中分解してしまうことがあります。しかし、永嶋さんと交流があったハウスマートのメンバーから永嶋さんについて「めちゃめちゃ良い人」という評判を聞いていました。実際にお話しした時も、永嶋さんの「不動産取引のあり方をより良いものにしたい」という想いがひしひしと伝わってきました。「一山あてよう」ではなく「世の中に貢献したい」という想いを持っている人は、実はベンチャー企業の中では非常に少ない存在だと思っています。特に不動産業界は歴史のある業界であり、衣食住に関わる責任が重い領域です。そのため、成功するためにはビジネスロジックだけでなく「想い」が非常に重要です。そういう想いを持っている人がいる組織と一緒に取り組めば、成功できると感じました。

永嶋:
組織においては、やはりトップの存在が重要だと考えています。針山さんとの会話を通じて、私も同じように「本気でお客様を第一に考えて、業界を変えていこうという強い情熱を持っている方だな」と感じました。不動産取引に対する強い想いを持っている人がトップの会社であれば、組織やメンバーも同じ想いを共有していると考えています。お互いがこの認識を持ち、同じ目標を追求し、同じ方向を向いていれば、自然に融合して上手くいくと思っています。

「人生に残る仕事」の実現に向けて

ー 経営統合によりどのようなシナジーが期待されますか?

永嶋:
まずは顧客基盤のシナジーによるマーケットシェアの拡大があります。 お互いのブランド力と業界ネットワークを活かすことで多様化する不動産会社様のニーズに対応しより付加価値を提供できるというのが短期的に期待できることです。また、売買領域においてはハウスマートが高い解像度を持ち、賃貸領域においてはイタンジが高い解像度を持っています。 この知見のシナジーを活かし、お互いがフレッシュな視点で売買・賃貸に関する可能性を考えることで、新しい事業も生まれていくのではないかと思っています。
また今後は、賃貸・売買・管理をワンストップにカバーできるような統合プラットフォーム構築を目指していくことで、新たな価値を創出することを期待しています。GAテクノロジーズグループ全体としては、売買領域を中心に展開している会社なので、グループ内の連携なども考えられます。グループの数も増えてきているため、可能性は無限大ですね。

針山:
 私も大きく2つシナジーがあると思っています。組織的なシナジーとプロダクト的なシナジーです。
組織的なシナジーについて言えば、永嶋さんもおっしゃっていたように、お互いのメンバーの学習スピードを向上させることができると思っています。賃貸と売買は同じ不動産業界ですが、特徴はまったく異なるため、お互いが持つ知識を共有することで学びのスピードを加速させることができると考えています。業界の知見だけでなく、システムの知見も共有することで、システム面でも学習スピードを向上させることができると思います。私たちは創業期は近いですが、イタンジは業界特化のSaaSプロダクトとして成功しており、お客様数も多いので、ハウスマートとしては、イタンジからたくさん学ぶことができると思っています。

プロダクト面のシナジーは、不動産会社様の中には賃貸も売買も両方やっている会社様が一定数いるのですが、そういった会社様に対してイタンジグループとして賃貸と売買の両方のサービスを提供することで、不動産会社様により付加価値を提供できると考えています。

長期的な夢のようなものになるのですが、1つの不動産会社や1人の営業担当者が個々のお客様とずっと寄り添っていける世界が実現できたら素晴らしいと思っています。たとえば、初めて上京した際にはイタンジの「OHEYAGO」や「ノマドクラウド」を利用し、社会人になってからもっと良い場所に引っ越す際にも再びイタンジのシステムを活用し、初めて同棲する際にもイタンジのシステムを使い、2人が結ばれて家を購入する際には「プロポクラウド」を利用できるような世界です。
お客様の住み替えを同じ営業担当者がずっと担当し、お客様の人生に営業担当者がずっと寄り添うことができる世界です。営業担当者の、日々の業務の忙しさからいまの仕事のあり方では難しいですが、イタンジとハウスマートのサービスをうまく融合させることで、そうした未来も現実もありえるのではないかと考えています。
大成建設さんのキャッチコピーに「地図に残る仕事」という言葉がありますが、不動産会社はライフイベントに関わる仕事なので、お客様の『人生に残る仕事』を実現できると勝手ながら思っています。

ー 最後に今後の展望などまとめの言葉をください

永嶋:
僕としてはこれ以上にない最高の組み合わせのM&Aだと思っています。 一緒に不動産業界のインフラを目指して、お互いの強みを活かし、不動産業界の課題解決に貢献していきたいと思います。

針山:
本当に運命的なことを感じておりますし、今回の統合は、ハウスマート創業以来の大きなチャンスだと思っています。 この機会を最大限に活かしシナジーを創出できるように、まずはお互いのことをよく知り、仲良くなっていきたいです。そして何よりも一番大事なのは、最前線で不動産取引の実務を日々行っている不動産会社様の仕事の負荷が減り、その先にいる個人のお客様の体験が良くなることです。より良いサービスを提供できるように頑張っていきたいです。



撮影:清水 庸介

※本記事は作成時点での情報を参考にしております。最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。

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