【エンジニア対談】自走できるエンジニアに成長するために必要なこととは【新卒×メンター】
GA technologiesグループで一括採用している新卒メンバーから、毎年数名がイタンジのエンジニアとしてキャリアをスタートさせています。彼らは1カ月ほどのエンジニア研修を経て早々に配属となり、その後はOJTでエンジニアリングを学んでいくことになります。その際重要になるのが、メンターの存在。メンターは配属先チームの開発リーダーが担いますが、新卒メンバーと信頼関係を築いたうえで、自走出来るエンジニアに育てることをミッションとしています。日頃から密にコミュニケーションをとることになる新卒メンバーとメンター。彼らは何を考え、どのようにお互いの成長に寄与しているのでしょうか。
今回は、先日開催した『イタンジアワード』(活躍したメンバーを表彰する社内イベント)において、新卒エンジニア部門で受賞した注目の若手である佐藤汰星(さとう・たいせい)さんと、メンターとして佐藤さんの成長に伴走してきたエンジニアの兼田健一郎(かねだ・けんいちろう)さんに話を伺います。
「面倒を解決する」ことに惹かれて、プログラマーの道へ
– そもそも佐藤さんはなぜエンジニアをめざしたのでしょうか?
佐藤「僕はすごくめんどくさがりやで、ごはん食べるのも面倒だと感じるタイプなのですが、『面倒を解決するためのこと』ならなぜか頑張れてしまうところがあって、プログラミングはまさにそれにあたるんです。GA technologiesグループへの就職を決めたのは、社員の行動規範である『GA GROUP SPIRIT(以下GAGS)』に共感したからです。特にGAGSの一つである『HEART 人としてちゃんとしよう』はすごくシンプルなんですけど、選考中に『人としてちゃんとしている人がよいエンジニアだ』というエピソードに触れて、自分もそうなりたいと思ったんです」
– ごはんを食べるのは面倒でも、プログラミングは面倒ではないんですね! プログラミングは学生時代から経験があったのですか?
佐藤「大学が情報系だったので、コンピュータサイエンスを学ぶ過程でプログラミングは少しかじっていました。ただ、授業で扱ったものと仕事で扱っているものは言語も分野も違うので、新たに学ぶことはたくさんありました。」
– 入社後はどのような研修があったのですか?
佐藤「まず内定した段階で、GA technologiesグループオリジナルの研修教材を利用でき、プログラミングの基礎を学ぶことができます。入社後は全体研修ののち、イタンジ側で用意しているエンジニア研修を受けました。実際のプロダクトと似た構成で、簡単なウェブアプリを作るというものです。その後は配属先によってまちまちです」
– 佐藤さんが配属されたのは、不動産賃貸の更新・退去手続きをウェブで一元管理できるプロダクト『ITANDI BB + 更新退去くん』のチームですね。そして更新退去くんの開発リーダーである兼田さんがメンターとなったわけですね。配属後はどのようなことから始めたのでしょうか?
兼田「まず、エラー・不具合撲滅タスクに取り組んでもらいました。プロダクト上で想定外のエラーが起きた際に通知がくるようになっているのですが、なぜエラーが出てしまったのか原因を探り、解決策を出して直していくというものです」
– アワードで受賞した際も、「エラー撲滅隊長として配属当初から活躍した」という評価コメントがありましたね! この仕事はどういう意図で任せたのでしょうか。
兼田「理由は複数あるのですが、まずこの業務は比較的少ない情報からエラー・不具合の発生原因を追求する必要があるので、その分プログラムを深く読み込む必要があり、どういう仕組みでサービスが動いているかを学習するのにちょうどよいと考えました。また、新しい機能をリリースしたときには新しい種類の不具合やエラーが発生する可能性があるので、今後新機能をリリースするたびに想定外の不具合が発生していないかを確認するくせをつけてほしいという思いもありました」
佐藤「おっしゃる通り、エラー修正のために既存のコードを読むことで、『へー、この機能ってこういうコードで書いてるんだ』というような感じですごく勉強になりました。なので、エラー周辺のコードを完全に理解してから修正するよう心がけていました。多少時間がかかってしまったとしても、理解したコードが財産になって、長期的なパフォーマンスに繋がると思っていたので。実際、それまでとは比べられないくらいの成長につながったと思います」
兼田「ちなみに、「◯◯隊長」という呼び方をつけたのも、使命感というか、“戦うぞ感” を演出する狙いがありました。地味な仕事かなとは思ったので、やってる感を演出したかったので。本人がどう思っていたかはわかりませんが(笑)」
佐藤「個人的には普通に楽しいタスクでした。パズルを解いているみたいな感覚ですね」
CS作業を簡単にする機能を実装し、アワード受賞へ
– エラー撲滅隊長をしたあとは、何に取り組みましたか。
佐藤「初めて、小さな機能追加に取り組むことになりました。お客様がプロダクトの利用を開始したときに、イタンジのCS(カスタマーサクセス)側でセットアップする項目があるのですが、その所要時間を省略するためにテンプレートを作れるようにする機能です」
– すごいですね。佐藤さんにとって、この仕事の難易度はどれくらいだったんでしょうか?
佐藤「それをやったのが2022年7月だったのですが、自分にとっては実務に入って最初の壁だったと思います。その機能を実現するのにどういう選択肢があるかを考えて、その選択肢の中でどれを選ぶのが適切かを考えるのが大変でした。これがよい、という根拠を自分の中でなかなかもてなかったので、難しかったです」
兼田「僕のほうで要件の大枠をざっくり決めて、実際にどうやって作るかという詳細設計はあえて指定せずに渡したんです。佐藤くんが考える領域が大きかったので難しかったと思いますが、しっかりと検討してくれて、期待通りかそれ以上の早さで、低くないレベルの案や仕様を提案してきてくれました。新卒だと案自体が出てこないこともしばしばあるので、そうやって形にできる時点で優秀だと思いました」
– 佐藤さんはなぜそういうふうにできたと思いますか?
佐藤「とにかく、めちゃくちゃ考えました。これだ! というアイディアが出たときも、本当にこれでよいのか、何か穴があるのではないか、などさらに思考を重ねて、吟味したところがよかったのだと思います」
– なるほど。その後は佐藤さんの出した初期案を、お二人でブラッシュアップしていったのですね。
兼田「そうですね。初期案を元に、その方法だとメリットはこうで、デメリットはこうだよね、というふうに議論していきました」
佐藤「兼田さんからのフィードバックを聞いて、そういうやり方もあるのか、なるほど! と知的好奇心が満たされると同時に、自分なりにあれだけたくさん考えたのに、兼田さんはこんなに早くこれだけの案を出せるのか、と脱帽する思いもありました」
兼田「でもここはチームで進めていく醍醐味で、人によっていろんな分岐が起こりうるところがおもしろいところですね。他の人が来ていたら別の結果になっていたと思いますし。その後、機能の実装までやりきってくれて、佐藤くんらしさもうまく出たと思います」
– その結果が、イタンジアワードの新卒エンジニア部門での受賞というわけですね。
佐藤「受賞できるとはまったく思っていなかったので、名前を呼ばれたときは驚きすぎて、頭が真っ白になってしまいました(笑)」
兼田「作ってくれたテンプレート作成機能によって、CSの作業時間が40分から5分にまで短縮されたんです。具体的な成果がある点が評価ポイントになりました」
新卒×メンターの二人三脚でお互いに成長
– 佐藤さんの活躍の影には、兼田さんという心強いメンターの存在があると思うのですが、兼田さんはメンターとして後進を育てる上で、意識していることはありますか。
兼田「自己研鑽ですね。技術的に優れている必要ももちろんあると思うのですが、最近はチームマネジメントや1on1に関する本を読み体系的に知識をインプットしたり、育成の計画を考えたりしてよりよい指導ができるよう勉強しています。また、メンバーをよく知るための努力もしています。チームリーダーとしては誰にどの案件を振るかという意思決定が重要で難しい部分なのですが、そこをうまくやるためには相手のことをよく知っている必要があるんです。具体的には、チームでストレングスファインダーという強みがわかる性格診断をおこなったり、ランチや飲み会などで相互理解の場を設けたりしています」
– 佐藤さんから見て、メンターとしての兼田さんはどんな存在ですか?
佐藤「兼田さんは、自走力をつけさせてくれていると感じます。手取り足取り教えるでもなく、かといって独学に任せるでもなく、最低限のヒントで少し導いてくれる。成長速度を上げてくれる感覚です」
兼田「たしかに技術面のアドバイスは、あまりしていません。技術的なことは調べたらわかることも多いですし、自分で調べたほうが記憶にも残りやすいので、そこはあまり時間をとらないことが多いです。それに佐藤くんの場合、先ほど言ったストレングスファインダーで、収集心や学習欲が上位に出ていたということもあって、特に自主性は尊重していますね。自分が力を入れているのは、どういう目的でどういう機能を作るかを考えるときのフォローをすることです。こういう目的だったらこうだし、目的が違うなら別の機能になるよね、というふうに、現場でどういう使われ方をするかを細かく想定して仕様を作り込んでいく考え方にフォーカスしてアドバイスしています」
– そういう部分は、PM(プロダクトマネージャー)が考えていると思っていました。エンジニアが担当しているんですね。
兼田「会社やプロジェクトによって、PMが担当するケースもあると思います。イタンジの場合、機能の詳細な仕様を決めるのは開発側が担当することが多いです。と言っても、境界線が明確ではなく、案件ごとにベストな割り振りを決めていくかたちですね。このあたりの志向は人によって違うのですが、どういうものを作ったら喜んでもらえるかなと考えるのが好きという人には、楽しい環境だと思います」
– なるほど。冒頭で「面倒ごとを解消するための開発がしたい」という話がありましたが、「どう解消するか」というところから考える力がつきそうですね。兼田さんにとっても、メンターとして立ち回る過程で学ぶことや得るものも多そうです。
兼田「そうですね、どういうアドバイスをすればいいかは日々悩んで格闘しているところです。意識しているのはバランスです。マイクロマネジメントすると進捗が遅くなりかねないのですが、あまりに任せてしまうとアウトプットの質が担保できないリスクが高まるからです。今どういうことをこのメンバーは考えて仕事しているだろうか、というのを会話ややりとりの中からできる限り拾い、先回りしてアドバイスできるように勉強中です」
– ところで、メンター以外にもチームにはメンバーがいると思うのですが、チームの雰囲気はどういう感じなのでしょうか?
佐藤「結構ドライな感じなんですけど、質問すればみなさんいろいろと教えてくださいます。特に中途で入社されている方はいろんなバックグラウンドをもっているし、知識が豊富な方が多くて、何をするにしても誰かが知っている、というような安心感があると思います」
兼田「イタンジの魅力は、自由度や裁量高く行動できる部分だと思います。こうやりたいって主張していけばやらせてくれることが多いです。裏返せば主体性や自律性が求められる環境でもありますから、そういう意味で自立した人が多い印象ですね」
– 最後に、佐藤くんがこれからどんなエンジニアをめざしていきたいか、教えていただけますか?
佐藤「マネジメント志向かスペシャリスト志向かでいったら前者かなあと、漠然とですが考えています。将来的には指導とか教育とか、知識をアウトプットして教えていくことにも興味があります」
兼田「今は経験を積む期間だと思いますが、そのうち本人の中でこういう方向に進みたいなと感じる時期が来ると思うので、そのときに自分の道を見つけられるように、いろいろと吸収していってほしいですね」
– ありがとうございました!
イタンジは、「テクノロジーで不動産取引をなめらかに」していくべく、不動産業界のさまざまな不便をDXで改善しています。佐藤さんのように技術で人の負を解消したいと考えている人にとっては、大きなやりがいを感じられる環境だと思います。